個人向けセキュリティ製品のベンダーであっても営利企業のため、どこかで利益を生まなければ存続することができません。
当然、無料とは言いながらも利益を獲得できる仕組みを持っています。
具体的には次のようなビジネスモデルが存在しているようです。
いわゆる有料版への入り口です。
無料のソフトウェアは、あくまでも“まずは”使ってみてもらうための入り口として機能し、そこから先は高機能な有料版を訴求することで、利益を図る仕組みです。
多くのセキュリティベンダーはこの形態を取っているように見受けられます。
無料である代わりに広告を表示し、外部企業からお金を貰うモデルです。
GoogleやFacebookなどもこのモデルであり、現代としては一般的な収益モデルともいえます。
こちらは現在ほぼ行われていないと思しきケースですが、セキュリティソフトユーザーの行動データを収集し、匿名化した大規模データとして外部の企業に販売するというモデルです。
ITP2.0などに伴いブラウザによる行動履歴がなかなか追えなくなってくる中、セキュリティソフトは原則OSの起動直後に動きだし、インターネットブラウザにとどまらずOS上の動きをほとんどすべて取得することができます。
こうした行動データは、マーケティングを行いたい企業にとって有用な情報といえます。
Windowsには「Microsoft Defender」と呼ばれるセキュリティソフトがバンドルされています。
このセキュリティソフトはMicrosoftが開発及び提供しているセキュリティソフトになります。
セキュリティソフトをインストールせずPCを利用しているユーザーが多いことを知り、プリインストール版として提供することを決めたそうです。
かつて競合のMacが「セキュリティソフト不要」を謳っていたこともあり、スイッチを防ぐ意味でもあったと推測されます。
いくつか収益モデルをご紹介しましたが、この中で特に問題になりがちなのが利用情報の販売です。
数年前にAvast!やAVGなどが収集したデータを第三者に販売していた事実があります。
※現在は、セキュリティ製品に利用する目的以外で拡張機能で収集したユーザーデータを利用する慣行は、完全に中止したと声明を出しています。
PCの利用実態をほぼすべて取得できる関係から、そのデータには様々な機密情報が含まれます。
ケースによっては個人情報の流出などにもつながりかねず、非常に問題となりました。
このように収益モデルにも納得できるものから、なかなか納得しにくいものまでさまざまな形態があります。
しっかりと自社(自身)での利用時に問題ないか把握したうえでの選択を行うようにしましょう。
※個人向けや無料のセキュリティ製品の法人利用については、利用規約としてNGとなっている製品もあります。