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サイバーリスク管理の要『サプライチェーンセキュリティリスク管理』の今 Part3 ~明日から始める効果的なリスク管理の導入・運用の5ステップ~(8/3)

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サイバーリスク管理の要『サプライチェーンセキュリティリスク管理』の今 Part3 ~明日から始める効果的なリスク管理の導入・運用の5ステップ~(8/3)

「一度やれば終わり」という考え方が通用しない、変化し続けるサプライチェーンリスク管理の課題と最新の対策について、「サイバーリスク管理の要『サプライチェーンセキュリティリスク管理』の今」と題した連載でお届けしています。

連載の第3弾となる今回は、明日から始める効果的なリスク管理の導入・運用の5ステップと題し、サプライチェーンセキュリティリスク管理の具体的な進め方について、説明していきます。

はじめに:「スモールスタート」から始める

本連載「サイバーリスク管理の要『サプライチェーンセキュリティリスク管理』の今」の第1弾、AIが課題克服をサポートする未来のセキュリティ戦略では、AIがサプライチェーンセキュリティリスク管理の課題解決をサポートする可能性について解説し、続く第2弾、なぜ、取引先のセキュリティ管理は形骸化するのか?日本組織が陥る『3つの罠』と“数千万円”の隠れリスクでは、「Excelとメール」による手作業の限界、「セキュリティ人材・予算不足」、そして「取引先に強く言えない」関係性や取適法への懸念といった、日本組織が直面する具体的な「3つの壁」と、その結果として生じうる数千万円から数億円規模の経済的損失について警鐘を鳴らしました。第3弾の本コラムは連載の最終章です。

これらのコラムを通じて、サプライチェーンセキュリティリスク管理が、もはや「他人事」ではなく、経営の根幹を揺るがしかねない喫緊の課題であることは、読者の皆さまにも強く認識いただけたことと思います。では、この認識を具体的な行動へと移すためには、何から始めれば良いのでしょうか?

  • NIST CSFやISO 27001といった難解なフレームワークを、いきなり完璧に導入しなければならないのか?
  • 膨大な数の取引先すべてに、高額なセキュリティ投資を強いることになるのか?

サプライチェーンセキュリティリスク管理の有効性を継続的に確保するための「サプライチェーンのライフサイクル」の考え方を基盤に、明日からでも実践できる「効果的なサプライチェーンセキュリティリスク管理の導入・運用」を解説します。

ステップ1:リスクの棚卸しと重要度分類(マッピング)

第一歩は、取引のあるすべての第三者(サプライヤー、ベンダー、サービスプロバイダー、ビジネスパートナー、子会社、グループ会社など) 、そしてその先の「第四者」までを明確に把握し、それぞれが自組織にもたらすリスクの可能性を棚卸しすることから始まります。

全取引先のリストアップと『重要取引先』の定義

現在契約しているすべての取引先を洗い出し、リストアップします。次に、各取引先が自組織の事業活動、保有する機密情報、システムへのアクセス権限などにおいて、どの程度の「重要度」を持つのかを分類します。例えば、個人情報や機密データを扱うクラウドサービスベンダーと、オフィス清掃業者では、リスクの性質も影響度も大きく異なります。ベンダーを階層化し、各ベンダーに必要な監視とデューデリジェンスのレベルを決定することが、この後に続く効率的なリスク管理の鍵となります。

ステップ2:リスク評価の実施

重要度を分類した取引先に対し、そのセキュリティ体制を評価します。評価方法にはいくつかの種類があり、取引先の重要度やリスクレベルに応じて使い分けることが肝要です。

評価方法の種類

  • セキュリティ質問票: 取引先のセキュリティポリシー、管理体制、技術的対策などについて、詳細な質問を通じて自己申告形式で回答を得る方法です。サプライチェーンセキュリティリスク管理を目的とするツールには、市場でニーズのある規制に基づいた質問票ライブラリと、ターゲットを絞ったカスタム可能な質問票のテンプレートを提供し、質問票作成の手間を大幅に削減できるものも存在します。AIによる回答支援機能を搭載していたり、回答率の低さや回答の質の低さといった課題を解決する機能を搭載したツールもあります。
  • セキュリティスコア: 外部から監視可能なIT資産(Webサイト、ドメイン、IPアドレスなど)をスキャン・分析し、客観的なセキュリティ体制をスコアリングする手法です。スコアリング機能のあるツールは、サードパーティのセキュリティ体制に関する客観的で正確な洞察を瞬時に提供し、質問票に頼った評価には付きものの「継続的な可視性の欠如」という課題を補完します。

重要度に応じた評価方法の使い分け

すべての取引先に同じレベルの評価を求めるのは非現実的です。重要度の高い取引先には詳細な質問票とセキュリティスコア、低リスクの取引先にはセキュリティスコアのみ、といったように、デューデリジェンスのレベルを調整することで、リソースを最適に配分することが可能です。

ステップ3:発見されたリスクへの是正措置

リスク評価によってセキュリティ上の問題が発見された場合、取引先と連携して是正措置を促すことが重要です。

本連載の 第2弾で触れた「取引先に強く言えない」という日本組織特有の課題は、是正措置の段階で顕在化しがちです。「不当な経済上の利益の提供要請」と捉えられないよう、一方的に改善を強制するのではなく、共にセキュリティレベルを向上させる「パートナー」としての対話を心がけましょう。市販のツールには、パートナーとのコミュニケーションとエンゲージメントを合理化するための機能を提供しているものもあります。こうした機能は、評価結果の共有や改善計画の進捗管理をツール上で行い、円滑なコミュニケーションを支援するだけでなく、具体的な改善策の提案まで可能なものも存在します。また、取引先へのサポートとして、AIが回答の補助や推奨事項を提示するツールなどもあり、協力的な改善を促す助けとなるでしょう。

ステップ4:継続的なモニタリング体制の構築

サプライチェーンセキュリティリスク管理は一度評価して終わりではありません。ITインフラやサイバー脅威は常に変化するため、「点」の評価から「線」の監視へと移行し、継続的なモニタリングが不可欠です。

最新のサイバーリスクを防ぐためには、取引先のセキュリティ管理体制やステータスを追跡するシステムを実装する必要があります。多くの市販のツールは、継続的な監視機能を提供し、取引先のセキュリティ体制の変化をリアルタイムで検知します。

  • リアルタイムアラート: ドメイン、IPなどの継続的な監視やデータ漏洩につながる脅威の監視を通じて、新たな脆弱性や設定ミスを検出すると、即座にアラートを発します。
  • アタックサーフェス管理: 取引先のデジタルフットプリント(Webサイト、ポート、クラウド設定など)を継続的にスキャンし、アタックサーフェスの拡大や潜在的な脆弱性を可視化します。
  • AIによる効率化: 第1弾で触れたように、AIの活用はリアルタイムの洞察と継続的なスキャン、モニタリングによりツールを強化し、評価サイクルの長期化や手作業によるエラーといった課題を克服します。ノイズカットされた新鮮な情報と優れた可視性を提供し、迅速かつ的確な意思決定と機会損失の最小化を実現します。

自動化された継続的モニタリングは、セキュリティ人材・予算不足に悩む組織にとって、限られたリソースで広範なサプライチェーンを監視するための心強い味方となります。こうしたツールの導入効果では、

  • リスク評価プロセスが自動化され、業務の効率化が進んだ
  • アタックサーフェスを包括的に可視化でき、リスクの軽減につながっている
  • 評価時間の劇的短縮

といった具体的な効果も報告されています。

ステップ5:経営層への報告

サプライチェーンセキュリティリスク管理は、現場のセキュリティ担当者だけでなく、経営層がサプライチェーン全体のリスクを把握し、戦略的な意思決定を行うための重要な情報源となります。経営層にリスク状況を分かりやすく可視化し、報告するコツとしては、

専門用語を避け、「なぜ今のままではダメなのか」という視点で、自組織へのビジネスインパクトを明確に伝える

ことが重要です。一般的なツールには、サプライヤーのポートフォリオを関係者やチームメンバーに共有するためのレポート機能やダッシュボードを提供し、リスク状況を分かりやすく可視化するものもあります。

これにより、コンプライアンス要件の増加に対応し、GDPRPCI DSSNIST CSFなどの規制遵守に関する問題を特定し、経営の根幹を揺るがす直接的な「経済的損失」に繋がるリスクを、経営判断に直結する形で報告できます。IBM『2025年データ侵害のコストに関する調査レポート』によれば、万が一機密データの大規模な侵害(情報漏洩)にまで至った場合、日本の平均コストは約5.5億円に達するとされており、このような具体的なデータを提示することで、サプライチェーンセキュリティリスク管理への投資の必要性を経営層に訴えることができます。

NIST CSF 2.0ではサプライチェーンリスク管理が経営層の果たすべき中核的な役割として位置づけられており、サプライチェーンセキュリティリスク管理はまさに「経営戦略とサイバーセキュリティ」の橋渡しとなる存在です。

まとめ:「一過性のプロジェクト」ではなく「文化」

本コラムでは、サプライチェーンセキュリティリスク管理の「明日から始めるための5つの実践的なステップ」を解説してきました。Excel管理を中心とした人海戦術のアナログな管理手法から脱却し、根本的な仕組みを変え、管理を「自動化・効率化(DX)」する時期が来ています。

サプライチェーンセキュリティリスク管理は、一度導入すれば終わりという一過性のプロジェクトではなく、継続的なフレームワークであり、組織全体に浸透させるべき「文化」です。各取引先の新たなセキュリティリスクを学習し、調整する継続的なプロセスとして、常に改善を続けることが求められます。これらのステップを実践することで、第2弾で触れた「3つの壁」を乗り越え、取引先に不当な負担を強いることなく、かつ自組織のセキュリティ担当者をExcelの事務作業から解放し、サプライチェーン全体のセキュリティレベルを向上させることが可能になります。

ツール活用のススメ

連載企画の第2弾で指摘したように、こうした作業を「Excelとメール」で行うには限界があります。数百、ときには数千に及ぶ取引先をExcelで管理しようとすれば、未回答の組織への督促や、曖昧な回答に関する確認のやり取りだけで、数ヶ月の工数が奪われる、といった事態に陥り、情報が陳腐化し、形骸化を招くことになります。

サプライチェーンセキュリティリスク管理専用のツールは、取引先情報の集約、重要度に応じた自動分類、そしてリスクの高低に基づいた対応の優先順位づけを効率化します。これにより、限られたリソースの中でも、優先すべきリスクを明確にし、「物理的に不可能」と諦めていた取引先管理を、実現可能なものにする第一歩となります。

SOMPO CYBER SECURITYでは、UpGuard(アップガード)Panorays(パノレイズ)という2種類のサービスを提供しています。サプライチェーンセキュリティリスク管理サービスの導入をご検討中の方には、ご予算、目的に応じて最適なソリューションをご提案させていただきます。

サプライチェーンの弱点を軽減し、より安全なビジネス基盤を構築するためのツールをお探しの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

詳細はこちらのページにあるお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

 


 

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