サイバー詐欺対策を考える(7/31)

サイバー脅威インテリジェンスサービスCognyteは、ダークウェブやTelegram、SNSなどから膨大な情報を収集し、情報漏洩や脅威アクターの活動を検知することによって、組織のサイバー・リスクを軽減させるサービスです。
今日のデジタル化が進む経済において、詐欺行為はもはや孤立した事件ではなく、サイバー犯罪の確立された一形態となっており、デジタルチャネルを通じて個人、企業、金融システムを標的とする、高度で常に変化するエコシステムへと進化しています。
サイバー詐欺は、企業と消費者の双方に重大かつ増大する経済的負担を強いています。米国連邦取引委員会(FTC)によると、2024年の金融詐欺の被害額は過去最高の125億ドルに達し、前年比25%増という驚異的な増加を記録しました。
こうしたサイバー詐欺に備えるには、基本的な防止策にとどまらず、インテリジェンス、自動化、外部からの包括的なスキャン、検出、対応、長期的な回復力(レジリエンス)も考慮する必要があります。
ソーシャルエンジニアリングの手口から、ダークウェブでの組織的なキャンペーンに至るまで、サイバー犯罪者は人間と技術の脆弱性を大規模に悪用します。
不正行為がどのように行われるかを深く理解することは、あらゆる業界の組織にとって不可欠です。
本コラムでは、組織がどのように不正行為を軽減し、関連するリスクを低減できるか、サイバー詐欺対策の最も効果的なアプローチについて説明します。
(本記事はCognyte社のコラム"Why Fraud Mitigation Can’t Wait: Confronting the Surge in Cybercrime"を翻案したものです)
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サイバー詐欺の現状
サイバー詐欺の手口は常に変化しており、経済的利益を目的とするさまざまなオンライン詐欺や犯罪が発生しています。
一般的な種類には以下のものがあります:
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なりすまし(アイデンティティ盗用): 犯罪者は個人情報(氏名、住所、国民IDなど)を盗み、被害者の名前と個人情報を使ってクレジットカードを作成したり、ローンを申請したり、その他の金融犯罪を犯したりします。個人情報は多くの場合、データ侵害、フィッシングメール、さらには文書の盗難によって入手されます。悪用されると、被害者の信用履歴や経済的評判に重大な損害を与える可能性があります。被害者は、記録を消去し、盗まれた資金を取り戻すために、数ヶ月あるいは数年の作業に直面するかもしれません。
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投資詐欺: 詐欺師はフィッシングやなりすましなどのさまざまな戦術を使用して、被害者を偽のスキームやポンジ・スキームに誘い込み、決して実現しない高いリターンを約束します。これらのスキームは、偽のウェブサイト、見栄えのするパンフレット、信憑性を高めるために設計された偽の体験談などを用い、非常に専門的に見えることがあります。場合によっては、詐欺師はソーシャルメディアやメッセージングアプリを悪用して緊急性などを煽り、被害者が適切なデューデリジェンス(事前調査)を行わずにすぐに行動するよう仕向けます。
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アカウント乗っ取り詐欺: ログイン認証情報を入手した後、犯罪者は被害者の金融アカウントにアクセスし、不正な取引を行います。彼らはパスワードを変更したり、連絡先情報を更新したり、新しい受取人を追加したりして盗みを容易にする場合があります。一部の攻撃者は、過去の侵害から漏洩したデータに基づき、自動化されたボットを使用して複数のプラットフォームで認証情報をテストする手法(クレデンシャルスタッフィング)を使用します。
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ビジネスメール詐欺(BEC): サイバー犯罪者は、メールで企業の幹部やサプライヤーになりすまし、従業員を騙して不正な電信送金を行わせます。これらのメールは正当なものに見えることが多く、既知のコミュニケーションスタイルを模倣したり、本物そっくりの請求書を含んだり、実際のビジネス取引に言及したりする場合があります。攻撃者は多くの場合、事前に調査を行い、ターゲットからの信頼を得るために時間をかけて接触します。
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その他のオンライン詐欺: この幅広いカテゴリーには、ロマンス詐欺、前払い詐欺(詐欺師が前払い金と引き換えに多額の金銭やその他の利益を約束する信用詐欺の一種)、オンラインショッピング詐欺など、さまざまな詐欺が含まれており、犯罪者は欺瞞的な戦術を用いて金銭や個人情報を入手します。ロマンス詐欺師は出会い系プラットフォームやソーシャルメディアを使用して、偽のペルソナ(人物像)を作り上げ、被害者と感情的な絆を結んでから金銭を要求します。前払い詐欺は遺産相続の主張、宝くじの当選、ビジネスチャンスなどが口実に使われることが多く、オンラインショッピング詐欺には、支払いが行われると姿を消す偽の店舗や偽造品の出品が含まれる場合があります。
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クレジットカード詐欺: サイバー犯罪者は、ATMや決済端末のスキミングデバイス、あるいはデータ侵害やキーロガーを実行して組織のセキュリティ対策を回避するなど、さまざまな方法でクレジットカード情報を盗みます。一度入手された情報は、不正な購入に使用されたり、ダークウェブ上で他の犯罪者に販売されたりします。不正行為は検出を逃れるために少額から始まり、アカウントが有効であることが確認されると急速に拡大する場合があります。クレジットカード詐欺は、金融サイバー犯罪の最も成熟し、産業化された形態の1つです。
次のセクションでは、CognyteのAIを活用した外部脅威インテリジェンス・ソリューションであるLUMINARによって収集された脅威インテリジェンスの洞察に基づき、このエコシステムが実際にどのように機能しているかを探ります。
カーディング・エコシステムの内側
クレジットカード詐欺は依然として、金融詐欺の世界で最も成熟し、利益を上げている分野の1つです。このエコシステムを支える重要な柱の1つが「カーディング」です。これは、盗まれたクレジットカードデータの違法な取得、密売、使用を指す言葉です。
カーディングの主要プロセスの1つは、盗まれたクレジットカード番号のうちどれが有効で、不正な購入に使用できるかを判断するというものです。このプロセスは通常、盗難カードをオンライン上で迅速に検証するように設計された、自動化ソフトウェア(ボット)によって実行されます。
カーディング・エコシステムは、ダークウェブフォーラム、アンダーグラウンドマーケット、Telegramチャンネルなど、インターネットの隠れた隅々で繁栄しています。これらのプラットフォームはそれぞれ、以下のような役割を果たしています。
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盗まれたクレジットカードデータの販売 - 国、銀行、またはカードの種類別に分類
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カーディングツール - 取引のテストと自動化に使用されるボット、キーロガー、マルウェアなどにより、犯罪者は簡単かつ迅速に詐欺スキームを拡大
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関連サービス - クレジットカードの検証や現金化(キャッシュアウト)の技術など
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知識の共有 - サイバー犯罪者が、検出の回避方法を含むガイド、チュートリアル、詐欺のヒントを交換
クレジットカード詐欺のエコシステム 出典:Cognyte
LUMINAR によって収集されたデータによると、盗まれたクレジットカードデータは、ダークウェブのマーケットプレイス やグループメッセージングプラットフォーム全体で取引される脅威であり続けており、企業や金融機関に絶え間ない課題を突きつけています。
盗難クレジットカードのダークウェブでの漏洩規模 出典:Cognyte
カーディングがより広範な詐欺のトレンドをどのように反映しているか
クレジットカードを標的にする戦術は、他分野の詐欺の手法を反映することがあり、逆に影響をおよぼすこともあります。
以下は、LUMINARによって最近検出されたツールと戦略です。
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ゴーストタップ(Ghost tap)アプリ: モバイルウォレットにリンクされた、盗難カードデータを現金化するために使用される、2024年後半に初めて確認された サブスクリプションベースのAndroidアプリ(リンク先英語)です。攻撃者は「ミュール」と呼ばれる運び屋を使用してNFC信号を世界中のPOS端末に中継し、検出を逃れるために小額の支払い(通常500ドル未満)を小売業者に分散させます。LUMINARは、いくつかの 中国のサイバー犯罪グループ(リンク先英語)がTelegramで販売しているサブスクリプションベースのAndroid向けゴーストタップアプリの増加を検出しています。
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不正なウォレットを搭載したデバイス: 中国を拠点とする複数のスミッシング(SMSフィッシング)グループは、モバイルデバイスに盗んだデジタルウォレットをロードし、Telegram経由で販売するスキームを運営しており、デバイスは1デバイスあたり数百ドルで大量に販売されています。以前は数ヶ月間保持されていたこれらのデバイスは、現在では7〜10日以内に販売または使用されており、詐欺サイクルと収益化のスピードが速まっていることを示しています。
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偽造カード画像: フィッシング被害者のカードデータは、中国の詐欺グループによってデジタル画像に変換され、Apple PayやGoogleウォレットにスキャンされます。これらの画像はOTP(ワンタイムパスワード)を引き出し、盗難カードを用いた支払いなどに悪用されます。
上述の例は、サイバー犯罪者がいかに継続的に決済方法、プラットフォーム、地理的条件を越えてツールと戦略を適応させ、個々の盗まれたカードをはるかに超える戦略的な脅威をもたらしているかを示唆しています。
不正被害の軽減における外部脅威インテリジェンスの役割
サイバー脅威インテリジェンス (CTI) は、サイバー詐欺対策で重要な役割を果たすことができます。悪意のある活動に対し早期の洞察を提供することで、CTIはより迅速な検出、よりスマートな防止、そしてより強力な対応を可能にします。
CTIがよりサイバー詐欺対策をどのようにサポートするかを以下にまとめました。
1. 不正な活動の特定:
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早期警告システム: フィッシングドメイン、データ漏洩、なりすまし攻撃などの悪意のある活動の兆候を特定することで、早期警告を提供します。
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トレンド分析: 不正行為の傾向とパターンを分析することで、組織は詐欺師がどのように活動しているかを理解し、それに応じて防御を適応させることができます。
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プロアクティブな監視: 脅威をリアルタイムで監視できるため、重大な損害が発生する前に不正行為の試みを検出して対応することができます。
2. 不正行為の検出と防止の強化:
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標的を絞った検出: トランザクションデータと既知の詐欺指標を相関させ、疑わしいトランザクションをより効果的に特定してフラグを立てることができます。
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リアルタイムの対応: 不正行為の試みにリアルタイムで対応し、トランザクションの発生時にそれを停止させたり、精査したりできる可能性があります。
3. インシデント対応の強化:
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対応時間の短縮: 攻撃ベクターと攻撃者の手口に関するタイムリーな洞察を提供し、より迅速かつ正確なインシデント対応を可能にします。
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標的を絞った修復: 詐欺師の手口を理解することで、脆弱性に対処し、将来の攻撃を防ぐための標的を絞った修復戦略を実装できます。
4. 顧客データとブランドレピュテーション(評判)の保護:
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顧客情報の保護: 顧客データを盗難や悪用から保護し、詐欺のリスクと風評被害を最小限に抑えることができます。
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クレデンシャルスタッフィングの防止: クレデンシャルスタッフィング攻撃を特定して軽減することで、顧客アカウントへの不正アクセスを防ぐことができます。
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ブランドの保護: なりすまし攻撃やその他の悪意のある活動を特定して防止することで、ブランドの評判を保護するための体制をより適切に整えることができます。
5. 規制要件への準拠:
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コンプライアンス: NIS2指令など、不正防止とデータ保護に関連する規制要件を満たすことができます。
従来の不正軽減ツールが不十分な理由
従来の不正軽減ツールの多くは、疑わしい取引にフラグを立てたり、不正なメールを調査したりするなど、特定のインシデントやターゲットを調査するために設計されています。これらのツールはフォレンジック作業(事後調査)には役立ちますが、より大きなパターンや体系的な傾向を明らかにするために必要な範囲と規模が不足しています。既存ツールはしばしばサイロ化されて動作し、高度な自動化や外部インテリジェンスを活用せず、手動の調査に大きく依存しています。
現代の詐欺被害の軽減には、脅威アクターの行動に対するリアルタイムの可視性、プラットフォーム全体(ダークウェブや暗号化されたメッセージングアプリを含む)での傾向の追跡、そして人間のアナリストが見逃す可能性のあるつながりを表面化させるAIを活用した分析が求められます。
LUMINARがどのようにプロアクティブな不正被害の軽減を推進するか
サイバー詐欺が進化するにつれて、その防止戦略も歩調を合わせて進歩しなければなりません。
LUMINARは、被害が発生する前にプロアクティブに詐欺を特定し、阻止する取り組みを支援します。
LUMINARが特に不正被害の軽減をどのようにサポートするかの例を以下に示します。
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ダークウェブのカーディング市場を監視および分析: クレジットカード不正軽減モジュールが、アンダーグラウンドのフォーラム、マーケットプレイス、グループチャットを継続的にスキャンして侵害されたカードデータを特定し、カードのキャンセルと漏洩の低減を可能にします。
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脅威アクターのツールとTTPを分析: 詐欺を可能にするマルウェア、ボット、ソーシャルエンジニアリングキットを追跡し、攻撃者の行動や戦術、技術、手順(TTP)に関する洞察を提供します。このインテリジェンスにより、より迅速な検出と対応が実現します。
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顧客と従業員の教育を強化: フィッシングの誘い文句やカーディング詐欺などの最新の詐欺の戦術を明らかにすることで、従業員への教育や、顧客の保護、ソーシャルエンジニアリング攻撃の阻止に寄与します。
LUMINAR クレジットカード不正軽減モジュール
脅威アクターのツールとTTPの分析: マルウェア、ボット、ソーシャルエンジニアリングキットを監視して、攻撃者の行動に基づいた実用的な洞察を提供します。LUMINARのリサーチチームは、金融詐欺の状況に関連する脅威インテリジェンスの認識を高め、詐欺の脅威を軽減することを目標に、関連する脅威アクターのツールと戦術、技術、手順(TTP)の包括的な分析を実行します。
顧客と従業員の教育を強化: フィッシングやカーディングなどの一般的な詐欺戦術に対する認識を深めることは、回復力のある防御を構築し、フィッシングやソーシャルエンジニアリング攻撃の侵入経路を防ぐために不可欠です。
今後の展望:生成AI時代の不正行為
詐欺の戦術は、生成AIと大規模言語モデル(LLM)の利用の手軽さが増すにつれて、進化し続けるでしょう。
ディープフェイクによる音声詐欺(ビッシング)から合成IDの生成に至るまで、詐欺師はすでにこれらのテクノロジーを兵器化して欺瞞(騙し)のレベルを向上させ、かつてないほど迅速に攻撃の規模を拡大しています。
脅威アクターの先を行くためには、自動化、外部からの可視性、リアルタイム監視を組み合わせた、プロアクティブでインテリジェンス主導の軽減戦略を採用しなければなりません。
サイバー詐欺はもはや孤立した一連の事件ではなく、相互に結びついた、変化の速いエコシステムです。
より広範な状況を理解し、リアルタイムでAI主導の外部脅威インテリジェンスに焦点を当てることで、組織は詐欺への「事後対応」から「未然防止」へと移行することができます。
盗難カードの使用を阻止する場合でも、スミッシング戦術の変化を特定する場合でも、プロアクティブな不正被害の軽減とは、単なる保護だけでなく、次の脅威の波の一歩先を行くことを意味します。
LUMINARがお客さま組織のプロアクティブな詐欺対策をどのように支援できるかをぜひご覧ください。
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